よしなしごと

V6に関する言いたいことを言ったり言わなかったりします

戸惑いの惑星、覚書

 前売券も当日券も手に入らず、スケジュールも合わずで散々嘆き散らし、身内にもフォロワーさんにも気を遣わせた挙句、どうにか通じた当日券キャンセル待ちのお電話を頼りに行ってまいりました、東京グローブ座。結果としては下手側3階席で観劇できました。無理やり予定をこじ開けてくれた上の人、本当にありがとう。明日からもがんばります。

 

 ということで、忘れないうちにこのエネルギーを文面に残しておこうということで、思い出したことからどんどん書きなぐっていこうと思います。すごい舞台だった。すごかったなぁ。なんも消化しきれてないぞ。そんな文章です。また数日経って消化してから書いてみても面白いかもね、ということで本文です。(ヒメアノ~ルのときもそんなこと言ってたな)

 


!注意
 以下、舞台の内容を多く含んでおります。舞台を見て生まれうる感情すらも知らない方が楽しめるのでは、と思いますので、所々で言われてはおりますが、これから観劇予定の方はお気をつけください。

 

★全体の感想として
 舞台を観終えて、情報量という意味でも、エネルギーという意味でも、とにかく舞台空間の密度がとても大きくて、いい意味で疲労度がすごいです。気がつけば溜息をついていて、口から出てくるのは「すごかったね」か「疲れたね」のどちらか、という時間が割と長いこと続きました。すごいぞ、としか言えない。こんなことを気軽に言ったらトニセンファン及びカミセンファンのお姉様方に怒られてしまうかもしれませんが、私はとにかくトニセンの楽曲の大ファンでして。カミセンの楽曲は、若かりしカミセンと被ったり、メロディが私の心の青春の部分を揺さぶってきたりといった形で非常に好きだし、流れ出したら奇声を発する自信がありますが、一方で楽曲自体で好きな曲が多いのは実はトニセンでして。それはもう本当に単純に好みの問題で、楽曲それ自体もそうだし、トニセンの歌声も大好きなんですね。だからこそ今回のTTTのチケットを手に入れられないことにあれほどまでに凹んでいた訳ですが、それは置いておいて。このような前提の上で、感想を続けます。

 

★音圧で泣きそうになる
 今回の舞台を観ていて泣きそうになった場面、というと難しいのですが、局所的に泣きそうになったところというのが大まかに3つありまして。3つめはストーリーとして必然的な涙だったのですが、この1つめが私にとっては新しい感覚でした。
 序盤で管楽器を吹いた後に歌ったオリジナル曲、あれはすごかったですね。あの後の舞台の雰囲気を決定した気もしています。そもそも曲調が好みだったというのもありますが、その音圧というか、声の圧というか、これはどの曲においても言えますが、とにかく3人のユニゾンのもつパワーやエネルギーが尋常じゃなく、心臓を直接ガツンと揺さぶられました。あれはすごい。心臓を揺さぶられるというのはよく聞く表現ですが、比喩ではなく、あの瞬間私の心臓は確実に揺さぶられていました。泣くような歌でも歌詞でも場面でもないのに、ボロっと泣きました。誰にもバレなくてよかったです本当に。何より、この後にも触れることになると思いますが、井ノ原快彦がすごかった。本当にすごかったです。もっともっとたくさんの舞台に出ているところをみせてほしい。生きている限り歌い続けてほしい。この人がトニセンに、V6にいるということがどれほど素晴らしいことか、と唸りました。よかった。井ノ原くんがトニセンにいて本当によかった。すごいぞこの人。当たり前のことだけれども、こんな序盤の曲でも彼はちゃんと長谷川で、長谷川の歌声ってどの曲も泣きそうになるんですよね。この時点ではストーリーなんて全く分からないけど、長谷川は最初から最後まで彼の感情で歌を歌っていて、なんでこんなに寂しそうなのか分からないのに、それがちゃんとこっちの胸に届くんです。うわ、悲しいって。だからこその涙でもあったのかな、と思います。

 

★井ノ原快彦のこと
 一つ前でも触れましたが、井ノ原快彦はすごいぞ。ということです。偉そうな言い方になってしまって恐縮ですが、逸材としか言いようがない。唯一無二だ!舞台界はもっと井ノ原くんをたくさん使ってくれよ。すごいぞこの人!この人が持ってる独特の空気!儚さ!井ノ原くんを明るいキャラクターとして役に起用することが愚かな行為なのではないかと疑いそうになるほどに素晴らしかった!いやあそこまでサバサバ爽やかな明るさを出せるということもこれまた稀少だと思うので、明るい役でもガンガン起用してほしいけど!!貪欲!!
 長野くんも坂本くんもとっっってもよかったです。長野くんのロングトーンの力強さやギャグシーンでの間の絶妙さ、最高でした。あと由利、めちゃくちゃ好きです。いい役だった〜。長野くん研究者の役似合うなぁ。あのまともそうなのに急にネジ外れるところとか理系的な頭のおかしさとか、とても好きだった。
坂本くんは流石の歌唱力とミュージカル力というか、貫禄がすごかった。舞台に立つために生まれてきた人だな、と感じました。イキイキしているというか。あ、ここに立つことが坂本くんの人生なんだ、と思うほどにしっくりきたというか。席の関係で由利のママをやっている坂本くんを観れなかったのが残念でなりません。面白かっただろうな。
 席の関係といえば、三池が彼女からの手紙を読むシーンの長谷川の表情、上手側からは見えているんだろうな、みてみたいな、と思いましたね。背中しか見えない、というのが良かったというのは勿論なのですが。そもそもそういう演出だろうし、背中しか見えないからこそとても悲しくて、でもあのとき長谷川はどんな顔をしてたんだろう、と、ついつい想いを馳せてしまう。見たいような、このまま見ないでいたいような。大好きなシーンです。
 話が脱線しましたね。いやー本当に、つまりは井ノ原くんが物凄かったんですよ。前半の長谷川の出番は主に、1人で語りながら三池と出会うまでのくだりと、手紙代行の仕事をしているくだりだと思うのですが、この二つのシーンがとても素敵で。ずっと、春のはじめに吹く風が、レースのカーテンを揺らしているような感じがあって、長谷川には常に儚さがあったんです。あぁ、折れてしまうよ、とか、消えてしまうのではないか、とか、ずっと半透明だったんですよね、長谷川は。だからこそ、彼の語りではなくなって心情が分からなくなってしまった後半は、出てくる度にまるで幽霊のようで、不可思議でうっすら恐怖すら覚えそうになる、でも行かないでって引き止めたくなるような、このままどこかへ行ってしまいそうな、つなぎとめておかなきゃって思うような存在になるんですね、きっと。
 長谷川の感情って、長谷川自身はほとんど表現しないのに、脳内にドッと流れ込んでくるというか。長谷川は表情にも話し方にも、言葉にだって彼の根っこの感情をあまり表に出さないのに、あとの2人の口から語られる長谷川と、長谷川の佇まいで全てわかってしまうというか。いや、分かった気になってるだけかもしれないというのは置いておいて。佇まいだけで全部表現してたように感じて、うわーって思いました。それと反して、歌がすごい。自分が希薄になっていく中で、歌う長谷川は長谷川100%に思えて。長谷川の叫びとか、慟哭とか、消えかかって僅かになってしまった彼の部分を全て振り絞っているように聞こえて、歌の度に泣きそうでした。嘘です泣きました。それが井ノ原快彦すげぇよって話に繋がるわけですが。
 いやもうすごいです。チンケな言い方になってしまうけれど、魂、なんですよね。命削って歌っているようというか、自分の中にある全ての力を振り絞って口から吐き出しているようというか。あんな歌を歌える人、私は知らないです。すごい。本当にすごかった。付加感情なしに歌声で泣く、なんて、初めての体験。いやぁもう、すごい人だ。言葉にできない。いつも感情と言葉にはもどかしさばかり覚えていますが、こんなにももどかしいのははじめてです。いつかしっくりくる素晴らしい言葉に巡り会えることを願っています。
 あとはもう単純に、教授役すごかったなぁ。練習したのかな。当たり前だけど声は井ノ原くんで、なのに1度も井ノ原くんにならなかった。声を変えてお芝居するときって何かの拍子に素の声や喋り方が垣間見えてしまうものなのに、すごいなぁと思いました。引き出しすごい。

 

★楽曲について
 曲の使い方、すごかったですね。何よりもうわっ!と思ったのはオレじゃなきゃ、キミじゃなきゃですかね。うわーこんな使い方するか!と思いました。手紙代行の仕事をする長谷川の「オレじゃなきゃ、キミじゃなきゃ」は痺れましたね!イメージが変わった曲ナンバーワンな気がしています。楽曲についてはいずれまた書けたらいいな。

 

★ストーリーについて
 3人の会話から舞台が始まっていくのって案外珍しくはないというか、お客さんがするっと物語に入り込めるので時たま使われる演出だとは思うのですが、それにしてもあの入り方はゾクッとしました。自分が誰か分からなくなるのが井ノ原くんというところがやっぱりすごいなぁ。ストーリー全体の設定もすごくて、キャラ設定すら何も知らずに行ったので、「自分喪失症」(?うろ覚えですみません)という設定を冒頭で知ったあとに「手紙代行」の仕事をすると聞いて一気に鳥肌が立ちました。うわ、それで自分を失っていくのかと悟ってしまって。それはなんだかとても井ノ原くんという人に添っている気がして、井ノ原くん自身がもし本当にその仕事をしたとしてもきっとそうはならないだろうと思うのですが、井ノ原くんが纏う空気とか、どこか儚く見える、なんだろうな、目とかかな。何故か井ノ原くんという人は、そうやって、たくさんの人が自分の中に入り込んできて自分が分からなくなってしまうという役に、とても当て嵌っているように感じたんですよね。もう、手紙代行という言葉を聞いた瞬間に泣きそうでした。泣いたかも。わからないですけれども。初っ端から、すごいぞこれは、最高の舞台だなと思いました。
 あとは、多分わざとそういう演出なのかなと思うのですが、最後3人の未来がほとんど見えなかったので、ここで終わり!?と思いましたね。語弊を恐れずに言うならば消化不良というか。どんな絵だったのかなぁ。長谷川が三池の絵をみてこれは僕だと言ったのは、なんだったんだろう。自分を思い出し始める第1歩なのか、それとも阿修羅だったのか。3人の先にあるのは希望だったのか絶望だったのか。希望だったと思いたいけどなぁ。

 

追記(2017.12.21):後からあの絵は白紙だったと聞きました。私にとっての戸惑いの惑星は、あの絵の中身が見えなかったということを演出として受け取ったので、やっぱりあの絵は阿修羅だったかもしれないし希望だったのかもしれないという感想からは変わらないですが、白紙だったということも心の隅に留めておきたいと思います。これが僕だ(うろ覚えですが)という言葉と、私が観た日の長谷川の表情や声色だと、前向きな意味に受け取りたいな、と感じました。いろんな人の感情が入ってきて、まるで落書きのようにいろんな色でベタベタに塗られてしまっているようだったであろう長谷川が白紙にリセットされて、長谷川の人生と心を、ここからまた新しく自分の色で描いていくのかなと思いました。映像化ありがとうございます。

 

 

★最後に

 長々と失礼致しました。いやー、すごい舞台だった。温度も高くて。オリジナル曲、まっすぐ胸に届いて、漠然とがんばろう、と思いました。トニセンの曲って、そういうイメージがありますね。まっすぐに浸透してくれる。明日に繋がる。そんなイメージがあります。
 ということで、またいつか頭の整理がついたら推敲なり加筆なりしたいなぁと思ってはいますが、ヒメアノ~ルのときも同じことを言ってやらなかったのでこれきりかもしれない。何にせよ、素敵で無敵な舞台でしたよ、ということで。
 あ、私の感想や舞台自体に対して、何かしら抱えていて発散できないパッションがありましたら、コメントしてくださったら私も一緒に盛り上がりますので是非に。あ、大丈夫かとは思いますが批判とかは胸に秘めたままでお願いします。

何はともあれ、こんな素敵な舞台をみることができて本当に幸せでした。あー、好きだな、トニセン。

(2017.02.04)

 

★追記①坂本昌行について
 坂本くん、やっぱりすごかったです。存在感がある。「井ノ原快彦について」でも言いましたが、舞台に立つ坂本昌行は、その時点でまず一つの人格が形成されているのかも、というか、とにかく自信があるように見えるんですよね。これもまた上手い表現が見つかりません。堂々としていて、あの場所が彼のホームなのだな、と思いました。あそこが坂本くんの最も輝ける場所なんだ、と。貫禄がものすごい。
 三池は根拠のない自信を口にして言い聞かせることで、不安や絶望を押し殺しているような人で、ガサツで粗暴なように見えるけど、お人好しで繊細で、そしてちょっぴりビビりで。若い頃の坂本くんっぽいのかもしれないけれど、今の坂本くんにしかできない役なんだろうな、と思いました。扉を開ける開けないのシーンの三池好きだったなぁ。現実でもお芝居でも、え?え?え?ってなってる坂本さんは素敵ですね。
 あとはやっぱり歌声が。音源のような安定感と高音の伸びと、ロングトーンの美しさと、いやぁやっぱりすごい人だ、と思いました。ミュージカルスターだ。3人のユニゾンのエネルギーを、土台で支えるのが井ノ原くんの低音なら、それをどこまでも伸ばして遠いところまで届けるのが坂本くん、という感じ。この2人の力強く、ともすれば反発してもおかしくないほどに確固とした歌声を、ふわっとまとめあげて花(華というよりは、花です)を添えてくれるのが長野くんですね。最高の3人だ。坂本くんはちぎれた翼の歌い方が好きでして、初めて生で聴くことが出来てとても幸せでした。あの、喉をチューブみたいにして口の中で低音を響かせるような歌い方、本当にかっこいいです。あとなんの曲だったかな、Sing!かな、坂本くんの上ハモ、あのいつもの最高の上ハモ本くんでしたね…。あのkEEP oN.のラスサビのような上ハモ…気持ちいいですね。そう、最後のDahliaだったかな?長野くん上ハモ、坂本くんメロディライン、井ノ原くん下ハモ(恐らく)のコーラスとてもドキドキしました。素敵だったー。
 あと、やっぱり坂本くんのギャグセンス、最高だなぁ。間が天才的。トニセン全体に言えることでもあるけれど。手紙代行を頼みにきたヤーさんっぽい人、めちゃくちゃ好きでした。あの低いところでゴロゴロ鳴ってるみたいな声、心地いいなぁ。さすがリーダー、熱い男、似合いますね。
(2017.02.05)